平標山・仙ノ倉山
自分の登山人生の原点といえるこの山は、10 年前の 7 月に初めての登山の舞台として選んだ。
そのとき出会った未知の風景に感動を覚え、今もこうして登山を続けている。
登山歴 10 年を迎える今年こそが再訪のときだと考え、時期を見計らっていたところ 6 月末の梅雨の晴れ間にこうして訪れることができた。
記憶のページを一つずつめくるように、当時と同じ行程を歩く。

松手山登山口から入山。
10 年前の記憶が徐々に蘇る。

樹林帯の急登を少しずつ登り、最初のチェックポイントである鉄塔を皆が目指していく。
登山口から鉄塔までは標高 500m 弱、そこから平標山頂上までも 500m くらいなので、ちょうど中間地点なのだ。

花が開いたばかりで細いが、シロバナニガナだろうか。樹林帯の上部に咲いていた。

シャクナゲと稜線。樹林帯を抜けて、この先の明るい道が開けてきた。

梅雨時期だが、とてもよく晴れて日差しが強い。
気温は 15〜17 ℃くらいで程よい風が吹き、不快な暑さはなく気持ちよかった。

振り返って、奥に見える山は苗場山。テーブル状の平らな山頂部が印象的な山容。
10 年前の人生初登山でここを訪れたときは山の名前の知識もなく、ここから見える山が何かということは気にしてもみなかった。

そしてたどり着いた平標山頂上。多くの登山者で賑わっている。
10 年前から山頂標識は新しくなっていた。

そして平標山登山の醍醐味が、ここから仙ノ倉山への続く天空のプロムナード。
初めての登山でここを訪れ、この風景が目に飛び込んできたときの感動と衝撃がいまも蘇る。

空には色々な雲があって面白い。快晴よりもこういう空が好きだ。

この時期の平標山は、山頂付近一体に広がるお花畑が有名。
ハクサンイチゲの群落が至るところにみられたが、数日前の強風で、黄色いおしべを残して白い花びらが吹き飛んでしまっているものが多かった。

木道の脇に、可憐に咲くハクサンイチゲ。

仙ノ倉山の頂上へと続く道。
ゆっくり登ったため、このときすでに時刻は 14 時を過ぎていて、ほとんどの人は下山に向かっており閑散としていた。
この開放的な風景をほとんどひとり占めしながら歩ける贅沢。

仙ノ倉山への最後の登り。
平標山からここまで、思ったよりも距離が長くアップダウンもそれなりで、歩きごたえがあった。

仙ノ倉山に到着。こちらの山頂標識は 10 年前のままだった。
標高は 2,026m ということで、来年 2026 年にはより一層賑わいそうだ。
2017 年の年末に標高 2,017m の雲取山に登ったのが懐かしい。

平標山に戻ると、自分たちよりも後に戻ってくる人はおらず、静かな稜線をしばらく振り返って眺めていた。

帰りは平元新道を辿るため、経由値である平標山の家を目指す。

ウラジロヨウラク。濃いピンク色で、小さな壺形花をたくさん咲かせている。
樹林帯の森林限界付近に多くみられた。

平元新道登山口に下り着いたら、そこからは車を停めた松手山登山口方面に向けて続く林道を歩いて戻る。
林道なので期待していなかったが、夕日が差し込んで思いがけず幻想的な雰囲気となり、最後まで楽しめた。
人生初の登山で訪れて以来 2 回目の平標山は、当時の新鮮な記憶を呼び起こす感慨深い山行となった。