亘理地塁山地
五月連休の後半は東北で過ごしたが、そのうち丸一日自由な日があったので、気になっていた山域へ。
宮城県亘理町や山元町、そして福島県新地町まで南北にまっすぐ貫く亘理地塁山地を、北端から歩く。
鮮やかな新緑の森に抱かれながら、藪あり展望ありと、変化に富んだトレイルが続く。
山を歩いて里に下りたあとは、太平洋沿岸まで出て海沿いの景色を楽しむ、山と海の両取りを叶えた贅沢な一日だった。

逢隈駅の近くに車を置いて、地形図上の亘理地塁山地の北端にある七峰山へ入山する。

阿武隈川にかかる槻木大橋。
鮮やかな新緑に彩られたのどかな風景が広がる。

一部区間を除いて踏み跡は明瞭だが、蜘蛛の巣が多く、長めの枝を持って前方を払いながら歩いた。

林道を通る区間はとても歩きやすい。
東北地方は熊が怖いので、それでも気を張って歩く。

箕輪峠のあたりで一度里に出たあと再び山に入ったが、すぐに薮が深くなる。
藪漕ぎしやすい服装ではなかったので、これ以上はトレイルを通るのは諦めて峠に戻った。

箕輪峠から割山峠の間の区間は、舗装路へ回り道することにした。
阿武隈川沿いの爽やかな道を進む。

割山峠から先の区間は藪や蜘蛛の巣もほとんどなく、先ほどまでの悪路の面影はなかった。
ちょうど割山峠から南側はみちのく潮風トレイルの区間と重なっており、そのためよく整備されているようだ。

閑居山の付近はツツジがたくさん咲いていた。

黒森山。西側の展望が良い。
残雪の蔵王連峰が美しい。

四方山の頂上が近づいてくると、これまた明るく新緑が美しいトレイル。

四方山の頂上広場。亘理・山元町の田園風景と、一直線の海岸線。あとであの海岸線を走ることになる。
ここはほとんど頂上直下まで車で上がってくることができるようで、私服の家族連れもいた。

四方山の頂上展望台から望む蔵王連峰。
朝方に稜線にかかっていた雲は、昼ごろになって晴れてくれた。

四方山の南に進むと、深山。
東日本大震災の慰霊の念が込められた鐘が設置されていた。
なお、山頂標識もこのあたりにあったはずだが見落としてしまった。

深山の頂上広場にあった草地と獣道。
5月初旬の東北は、低山で鮮やかな新緑を眺めるには一番いい季節。
しかし、ここから南側は再びみちのく潮風トレイルのルートから外れるため、道が藪っぽくなる。

深山から藪っぽい道を抜けて馬船峠まで出るが、ここから南側はさらに藪が深まることが事前調査でわかっていた。
というわけで、亘理地塁山地のハイライトは十分楽しめたということで、この峠に通っている道路を歩いて東側に抜けることに。
しかし、地理院地図上では 3〜5.5m の 1 車線道路として描かれていたものの、実際には薮が茂った廃道同然の "林道跡" だった。

しかし馬船峠まで進んでしまったら、ここから深山に戻る気持ちにもならず、この林道を探検しながら市街地を目指して歩くことに。
しばらく歩くと、ようやく藪に覆われた区間を抜けて、まだ使われていそうな未舗装路に出る。

さらに東に抜けると、山を完全に降りて住宅街を通り、山元町の田園地帯に出た。
ここから逢隈駅までランニングで戻ることにした。
山から何度も見えたあの真っ直ぐな海岸線に出て、太平洋を眺めながら優雅に走りたい。

田んぼやイチゴ畑などが広がる広大な土地を抜け、無事に辿り着いた。
ここからしばらく堤防の上を走って北上する。鳥の海まで続いているが、とにかく真っ直ぐひたすら長い。

すっかり西日になった時間帯、ようやく堤防を抜けて逢隈駅に向かって内陸に入っていく。
途中まで歩いた亘理地塁山地の山々が見える。
実はここも阿武隈高地の一部のようで、その北端部分に位置する山域となっている。

亘理町・山元町の一帯は、あまりにも広大な田園地帯と、そこに交差する直線道路で町が構成されている。
東日本大震災で甚大な被害を受けた地域だが、綺麗に直されこうして農業が営まれている光景を見ると、元気が湧いてくる。
ほとんど日没とともに逢隈駅に戻って、山と海を同時に味わう 50km の旅が終了した。